調剤報酬の構成
調剤報酬は、保険薬局が行った保険調剤に対する報酬のことを言います。
調剤報酬の算定は、「調剤報酬点数表」に基づいて計算されます。
1点=10円です。
調剤報酬の構成は以下のようになっています。
調剤報酬 = 調剤技術料+薬学管理量+薬剤料+特定保険医療剤料料
・調剤技術料
処方箋に基づいて調剤をした場合に支払われる報酬です。
調剤技術料は、さらに「調剤基本料」、「調剤料」、「各種加算料」に分かれて構成されています。
・薬学管理料
保険薬剤師が患者の薬剤の服用に関して情報提供を行い、得た情報などを記録・管理した場合に算定することができる報酬です。
・薬剤料
薬剤の価格のことです。
国によって「薬価」が決められており、その薬価と処方された数で計算されます。
・特定保険医療剤料料
インスリン(注射針を含む)や在宅医療で使用する輸液など、特定の医療材料の価格です。
調剤報酬とは
調剤報酬とは、薬局で調剤をしたときのお薬代(お会計)のことです。
少し難しい言い方にすると、保険薬局が行った保険調剤に対する報酬のことです。
調剤報酬は厚生労働省によって定められています。
お薬代といっても、薬剤の金額だけでなく、薬剤師の技術料なども含まれています。
誰でも平等に治療を受けられるよう、薬の値段(薬価)や薬剤師の技術料は国によって決められています。
保険薬局が行う調剤報酬の算定は、全国共通の「調剤報酬点数表」に基づいて計算されます。
調剤報酬点数表には保険薬局が算定する基本料や技術料が何点であるか、全て収載されています。
1点=10円で計算されます。
患者さんから薬局窓口で保険適応の自己負担分(一般の方は3割)をお支払いいただき、残りの分(一般の方は7割)を保険者に請求します。
この調剤報酬は2年に1回改定されます。
調剤報酬は、調剤技術料、薬学管理料、薬剤料、特定保険医療剤料料から構成されています。
診療報酬は保険診療において医療行為を行った場合、医療行為を行った病院やクリニックに対して支払われる報酬です。
介護報酬は介護保険が適応される介護サービスを提供した場合、そのサービスを提供した事業者に対して支払われる報酬です。
調剤薬局は「調剤報酬」で、病院やクリニックは「診療報酬」により患者さんの負担額が決まります。
医薬分業とは
医薬分業とは
医薬分業とは、薬の処方と調剤を分離し、医師と薬剤師というそれぞれの専門家が分担して行うことを言います。
医師は患者を診察して、薬剤の処方(処方箋の交付)を行います。
薬剤師は処方箋に基づいて薬剤の調剤や説明を行い、必要に応じて疑義照会をします。
医薬分業は患者のための仕組みです。
医師と薬剤師がそれぞれの職能を発揮し、患者にとってより良い医療を提供することができます。
医薬分業により、患者の安全を守り、必要最低限の薬剤で目標とする効果を得ることにつながります。
また、今日問題となっている医療費の増大についても、薬剤費を適正化し貢献しています。
法的根拠
医師は医師法第22条
「治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、処方箋を交付しなければならない」義務を負っています。
薬剤師は薬剤師法第23条
「薬剤師は処方箋によらなければ調剤してはならない」
と定められています。
診療行為と調剤行為を分離して、医師と薬剤師の2つの職能が独立して発揮されるような仕組みとなっています。
分業率とは
分業率とは外来で処方箋を受け取った患者が、病院内で薬をもらわずに、院外の薬局で薬を受け取った割合のことを言います。
分業割合は都道府県で差がありますが、全国平均では70%を超えており、80%へ到達しそうな勢いです。
医薬分業の歴史
医薬分業の始まりは1240年に神聖ローマ帝国のフリードリッヒⅡ世が毒殺を恐れて、法律を定めたことが始まりと言われています。
その法律では医師が薬局を持つことや、薬剤師との共同経営などを禁止しています。
その後、ヨーロッパ各国やアメリカ等にも広がっていきました。
日本では明治時代初期にようやく始まります。
ドイツの医療制度を取り入れる動きが始まり、医療は医師と薬剤師により成り立つという考えが伝えられました。
そこで初めて「薬剤師」という名前が使われるようになりました。
その後、実際の医薬分業が行われた例はほとんどありませんでしたが、1970年代から処方箋料の引き上げが行われ、国による本格的な医薬分業が始まりました。
医薬分業の割合は年々高くなっており、完全分業に向けて進んできています。
前期高齢者医療制度について
WHO(世界保健機関)の定義では、65歳以上の方を高齢者としています。
65~74歳までを前期高齢者、
75歳以上を後期高齢者といいます。
75歳以上の方は後期高齢者医療制度に加入できます。
(65~74歳の方でも一定の障害があり、広域連合の認定を受けた方も加入することができます。)
前期高齢者医療制度について
前期高齢者医療制度の対象となるのは65~74歳の前期高齢者の方です。
65歳以上となると、会社員や公務員だった方が定年退職される年齢となってきます。
それまで加入していた健康保険や共済から、退職後は国民健康保険(国保)へと移ります。
高齢になると病気で通院される方の割合も高くなります。
こうなると、現役世代の多い健康保険や共済に対して、国民健康保険の負担が高くなってしまいます。
こうした国民健康保険と他の被用者保険との医療費負担を調整するために作られた制度が前期高齢者医療制度です。
前期高齢者医療制度は後期高齢者医療制度のような独立した医療制度ではありません。
65歳以上となり、前期高齢者医療制度の対象となっても、75歳以上になるまでは現在加入している保険から変わることはありません。
あくまでも保険間での負担を調整するために作られた制度になります。
高齢者の加入割合が高い、国民健康保険が破綻してしまわないように、被用者保険(全国健康保険協会、健康保険組合など)や共済から、調整金(前期高齢者納付金)を出します。
この調整金(前期高齢者納付金)が、前期高齢者交付金として国民健康保険に交付され、各保険間のバランスを取り保険制度を維持しています。
負担割合は後期高齢者の場合は1割でしたが、
前期高齢者では
70歳未満の場合は3割
70~74歳の場合は2割(一定以上所得者は3割)
となっています。
後期高齢者医療制度について
以下のように公的医療保険制度の中心は、「職域保険」、「地域保険」、「後期高齢者医療制度」となります。
医療保険制度
ー 地域保険(国民健康保険)
高齢者医療 ー 後期高齢者医療制度
今回は後期高齢者医療制度についてです。
後期高齢者医療制度は、75歳以上の方が加入する独立した医療保険制度です。
(65~74歳であっても一定の障害があり広域連合の認定を受けた方も加入することができます。)
運営についてですが、
市町村が保険料の徴収、被保険者症の交付、各種届出の受理など窓口業務を行います。
そして、都道府県単位で全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合が医療費の審査・支払や被保険者症の発行など、財政業務を行っています。
後期高齢者医療制度では患者自己負担は1割となります。
残りの9割は、公費が約5割、現役世代からの支援が約4割となっています。
現役並みの所得がある方の自己負担は3割になります。
保険薬局では、後期高齢者医療被保険者の負担割合は、処方箋の備考欄に、「高一、3割、高7」などと記載されており、確認することができます。
昭和57年に制定された「老人保健法」が、平成18年に「高齢者の医療の確保に関する法律」に改正され、75歳以上を被保険者とする独立した医療保険制度の「後期高齢者医療制度」が創設され施行されてきました。
その間、高齢化は進み、医療費が増えていく中で、医療保険制度を継続していくために、残薬の調整、ポリファーマシーの解消や、ジェネリック医薬品の推進なども薬局に求められています。
前期高齢者医療制度についてはこちらです。
社保と国保の違い
今回は社保と国保の違いについてです。
まず医療保険制度は大きく、「職域保険」、「地域保険」、「後期高齢者医療制度」に分けられます。
医療保険制度
ー 地域保険(国民健康保険)
高齢者医療 ー 後期高齢者医療制度
以下は職域保険と地域保険の分類についてです。
ー 一般被用者 健康保険組合
ー 被用者保険 (社保)
ー 特定被用者 国家公務員共済組合
職域保険 地方公務員等共済組合
私立学校教職員共済
ー 自営業者保険 ー 国民健康保険組合
被用者保険は社会保険(社保)とも呼ばれ、会社員や公務員、その扶養家族などを対象とした保険です。
企業に勤めている方が加入する一般被用者保険は、
大企業に勤める方は、健康保険組合に
中小企業に勤める方は、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入します。
特定被用者保険では、公務員や私立学校教職員、船員を対象としたものがあります。
公務員や私立学校教職員は、それぞれの共済組合を作り、その組合が保険を運営しています。
国民健康保険(国保)は、自営業や農林漁業等に従事し、職域保険のうちの被用者保険(社会保険)に加入していない方を対象とした保険です。
国民健康保険は、「都道府県国民健康保険」と「国民健康保険組合」に分類されます。
都道府県国保は、被用者保険(社保)や国保組合に加入していない方を対象とした保険です。
自営業者、退職者、農業者、無職の方などです。
国保組合は同じ事業・業務に従事する方で組織されており、その扶養家族も加入することができます。
医師国保、歯科医師国保、薬剤師国保、全国土木建築国保組合などがあります。
社保と国保の違い
・勤労状況や年齢によりどの医療保険に加入するかが決まる
社保:会社員や公務員などとその扶養家族
国保:社保に加入していない方が対象
・保険者が異なる
【社保】
保険の種類 保険者
健康保険 全国健康保険協会
各種共済 衆議院共済組合、公立学校共済組合など
【国保】
・扶養の有無
国保には扶養の概念がなく、家族全員が保険料を払ってそれぞれ加入します。
家族全員が「国民健康保険被保険者」となります。
国民健康保険(国保)について
医療保険制度の種類について、こちらにまとめました。
今回は医療保険についてもう少し詳しくみていきます。
公的医療保険は以下のように、職域保険と地域保険に分かれます。
ー 地域保険(国民健康保険)
簡単に言いますと、
職域保険には会社勤めのサラリーマンやその扶養家族などが加入し、
地域保険はそれ以外の方が加入しなくてはいけない保険です。
国民健康保険(国保)は、自営業や農林漁業等に従事し、職域保険のうちの被用者保険(社会保険)に加入していない方を対象とした保険です。
職域保険について
ー 一般被用者 健康保険組合
ー 被用者保険 (社保)
職域保険 ー 特定被用者 国家公務員共済組合
地方公務員等共済組合
私立学校教職員共済
ー 自営業者保険 ー 国民健康保険組合
国民健康保険(国保)は、地域を単位としており、「地域保険」と呼ばれる場合もあります。
国民健康保険は、「都道府県国民健康保険」と「国民健康保険組合」に分類されます。
都道府県国民健康保険
都道府県国保は、被用者保険(社保)や国保組合に加入していない方を対象とした保険です。
自営業者、退職者、農業者、無職の方などです。
保険者は都道府県になります。
国民健康保険組合
国保組合は同じ事業・業務に従事する方で組織されており、その扶養家族も加入することができます。
国保組合は職域保険に含まれます。
職域保険の所でも述べましたが、
医薬品業や建設業などの特定の業種では、国民健康保険組合(保険者)を作ることが認められる場合があります。
その特定業種の自営業者と従業員を対象とした保険です。
医師国保、歯科医師国保、薬剤師国保、全国土木建築国保組合などがあります。
社保と国保の違いについてはこちらです。