医薬分業とは
医薬分業とは
医薬分業とは、薬の処方と調剤を分離し、医師と薬剤師というそれぞれの専門家が分担して行うことを言います。
医師は患者を診察して、薬剤の処方(処方箋の交付)を行います。
薬剤師は処方箋に基づいて薬剤の調剤や説明を行い、必要に応じて疑義照会をします。
医薬分業は患者のための仕組みです。
医師と薬剤師がそれぞれの職能を発揮し、患者にとってより良い医療を提供することができます。
医薬分業により、患者の安全を守り、必要最低限の薬剤で目標とする効果を得ることにつながります。
また、今日問題となっている医療費の増大についても、薬剤費を適正化し貢献しています。
法的根拠
医師は医師法第22条
「治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、処方箋を交付しなければならない」義務を負っています。
薬剤師は薬剤師法第23条
「薬剤師は処方箋によらなければ調剤してはならない」
と定められています。
診療行為と調剤行為を分離して、医師と薬剤師の2つの職能が独立して発揮されるような仕組みとなっています。
分業率とは
分業率とは外来で処方箋を受け取った患者が、病院内で薬をもらわずに、院外の薬局で薬を受け取った割合のことを言います。
分業割合は都道府県で差がありますが、全国平均では70%を超えており、80%へ到達しそうな勢いです。
医薬分業の歴史
医薬分業の始まりは1240年に神聖ローマ帝国のフリードリッヒⅡ世が毒殺を恐れて、法律を定めたことが始まりと言われています。
その法律では医師が薬局を持つことや、薬剤師との共同経営などを禁止しています。
その後、ヨーロッパ各国やアメリカ等にも広がっていきました。
日本では明治時代初期にようやく始まります。
ドイツの医療制度を取り入れる動きが始まり、医療は医師と薬剤師により成り立つという考えが伝えられました。
そこで初めて「薬剤師」という名前が使われるようになりました。
その後、実際の医薬分業が行われた例はほとんどありませんでしたが、1970年代から処方箋料の引き上げが行われ、国による本格的な医薬分業が始まりました。
医薬分業の割合は年々高くなっており、完全分業に向けて進んできています。